クローン病が治った食事その3
んー。おいしい。
トマトが。
終戦のこの時期、トマトをほおばると、「はだしのゲン」を思い出す。すべてを焼かれ、廃墟になった広島の街を子供たちだけで生きていくため、人の畑でトマトをもぎとってむさぼり食べていたゲン。
それにくらべてわたしは、なんと幸せであることか。んー。トマトうめぇ。
夏はトマトである。
なお、冬はりんごである。甲田式1日2食健康法的には、りんごがよい。「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ということわざもある。ほんとうは年中りんごを食べていたい。だが、夏のバカ高いりんごを、買えるわけない。旬のものをいただこう。やはり夏は、スイカ、といきたいところだが、高い。てことでトマトだ。栄養的にもこっちがよかろう。
副食は、まあ、これでいいかなー。
主食は小麦。副食は大豆製品、と、夏はトマト、冬はりんご。以上。これであと水と塩があれば、生きてはいける。生命維持は、可能。
はじめはトマトもりんごも省こうとしたが、食べた日と食べていない日とでは、翌日のトイレのようすが明らかにちがう。食べたほうが、下痢便が形になってくる。やはり食物繊維は必要ということだ。ビタミン・ミネラルなど微量栄養素のおかげもあってか、いくぶん体調もいいようだ。
といっても、トマト or りんご、だけでは心もとない。これで野菜が摂れたということにはならない。
野菜の栄養をどうしたものか。
しかも財政破綻をし、わたしは悩んでいた。
主食はパンとパスタ。
副食は豆乳と高野豆腐。
とりあえずこれで、生きてはいける。生きては。
だがわたしは、治ることをあきらめたわけではない。ド貧乏でも、食べてさえいければいいといっても、「治る方向で」生きていたいのだ。
できることなら、いや、何としても、ここに野菜の栄養を加えたい。
といって、野菜を食べたところで、まだまだクローン病のおなか、ほとんど消化できずに体の中を通過して、トイレに流すだけである。それでもわずかには吸収できようが、費用対効果が悪いことこの上ない。それに近ごろ、お野菜も高いのよ、とすっかり主婦目線。
amazonで格安の粉末青汁を購入し、しばらく飲んでみた。
が、いいとも悪いとも感じない。ということは何にもなってないんだろう。だったら、いくら安いといったって、安物買いの銭失いだ。やーめた。
高すぎず、安すぎず、常識的な価格設定のもので、そのなかで最強の青汁を探そう。
ネットを漁っては、これはダメ、これもダメ、これは、ギャーなんじゃこの添加物はふざけんな、おっ、これよさそう、あーでも値段がダメ、とやっていたある日のこと。
「松井さんこんにちは。松井さんに、飲んでもらいたいものがあるんですが、サンプルをお送りしてもよろしいでしょうか?」
メルマガの読者さんからである。
はい。いただきます。飲めるもの、食べられるもの、1カロリーでもあるものなら、ただいますべて歓迎です。とは書かないが、ふたつ返事で希望した。
数日後に届いたのは、こぎれいなパッケージをしたサプリメントだった。
まさかこれがわたしのクローン病を540度転回させることになろうとは、このとき知るよしもない。
「あー、サプリかぁ。サプリねぇ……」
これが第一印象だった。
すみません。うぬぼれているわけではないが、わたしは仕事柄、そうとう知識はあるつもりだし、サプリメントにはそうとう(無駄な)投資をしてきた。こんな上品なパッケージに身をつつんだサプリで本当に良かったものにいままで一度も出会っていない。
しかしこれは読者さんのご厚意である。こんなわたしを、応援してくださる方があるのだ。ありがたく、飲ませていただきます。
飲むこと4日。
便のニオイが消えた。
半年後。
クローン病が治った。
なぁアァァァにぃィィィィ!?
なんじゃこりゃあアァァァァァァァァァ!?
サプリの中身は○○○○○であった。
野菜ではなかった。粉末青汁でもない。
――これから数回にわたって、この○○○○○について詳しく書く。久々に書きがいのある食品に出会った。
甲田先生を尊敬するあまり、「青汁でなくてはいけない」という固定観念に、わたしはとらわれていた。
そして。
すみません。うぬぼれてました。
つづく。
◆編集後記
ゲンはトマト泥棒が見つかって、畑の主人に「待て!」と呼び止められた。どれだけ叩かれるかとおもったら、「もっと持っていきなさい。」と、トマトを持たされた。ような場面があったと記憶する。他のマンガとごっちゃになってたらスマン。