投稿

11月, 2022の投稿を表示しています

ワンちゃん、つらいかい?

イメージ
  交通事故にあった犬が動物病院に保護された。脊椎(せきつい)を損傷しているので、もう一生歩けない。  たまたま病院に取材に来ていた雑誌記者が、その犬をみつけると、犬は目をキラキラさせた。すり寄って来たそうな動作をするが、歩けない。 「この子はいま自分のことをどう思ってるんでしょうね」  たずねると、医師は答えた。 「なんとも思っていませんよ。動物には現在しかないので、未来を悲観したりしません。未来のことを思い悩んでクヨクヨするのは人間だけです」  難病が治るように生活していて、なにがつらかったって、未来が見えないことである。  このやり方で、治っている人はいっぱいいるのに、なんでわたしは治らないのだろう。もしかして、わたしだけは助からないのではないだろうか。助かるとして、10年後なのか。20年後なのか。50年後、は、もう墓の下だ。それまでに治るのか。1日30回、ほとんどトイレで過ごす人生は、人生といえない。だったらわたしは、人生が始まらないまま、人生が終わるのか。  つらいのは肉体の苦痛よりも、この精神の苦痛である。  1日30回、トイレで過ごしながら、ワンちゃんを思った。歩けなくなったワンちゃん。  ワンちゃん、つらいかい?  ワン。(いいえ。)  そっか。わたしは、ワンちゃんよりも、人間ができてないんだな。犬を見習って、もうちょっと人間として成長しよう。  これが、今の自分なんだ。まちがいのない現実なんだ。受け入れるしかないんだ。  わたしは「必ず治します!」なんてメルマガを書いて、がんばってきた、つもりだが、現実を受け入れなかっただけではないのか。  難病のわたしは、本来のわたしではないと。  わたしは、わたしに戻るために、わたしではない今の状態を治さなければならない。そう思ってなかったか。  これじゃ私を否定してることになるじゃないか!  今は、これが、私なんだ。難病・クローン病のひと。それが、私。むかしのことは知らん。いまは、これが私。未来のことも、知らん。私は、私。難病でない私も私。難病の私も私。  私が難病。難病が私。  だったら、このままだったとして、これはもうしかたがないのだ。  だが、たどり着きたい場所がある。  東京に行きたいなら、東京に向かって歩けば、徒歩でもそのうち着くだろう。  方向性だけ、ちゃんと持っておけばいいんじゃないか。  だい

お金がないと病気は治せないのか?(なわけない)

イメージ
  ああ、こんな馬鹿が、食事をいただけるなんて。 合掌。 いただきます。 おいしい……。 ありがたい……。 ごちそうさまでした。 合掌。  高価な食べ物なんて、いらなかったんだ。まして、高価な薬も。  難病が治るには 〈体へのアプローチ〉 と 〈心へのアプローチ〉 が必要だった。 〈体へのアプローチ〉については前回までに書き終えた。 ここからは 〈心へのアプローチ〉 を書いて、連載を終わろう。 「これが最後の注文だ」  漢方薬がないと治らない、と思っていたころである。  1年もすれば終わるだろうとたかをくくっていた高額な漢方治療は10年に及び、貯金が底をついた。  それまで甲田光雄先生の青汁をつくる会社がスポンサーになってくれていたが、甲田先生が亡くなって、スポンサー料もなくなった。  もう薬が買えない。それどころか、食費をどう削ろうかと頭をかかえた。  この状態で漢方薬をどう手に入れたらいいのか。 「カネを稼ぐしかない、か」  つぎの注文は、お金をつくってからだ。  お断りしておくがこの考えはまちがいである。薬はいらない。お金もいらない。だがわたしはまだそれに気づいていない。薬がないと治らない。だからお金がないと治らないと思い込んでいる。  治療を再開するにはお金を稼がねば。  とはいえ、どうする。  家から一歩も出られない。  おしりが痛くて、「ちょっと座る」ことができないのだ。この不自由さときたらない。なってみなければわからない不自由さだ。社会は「座る」という動作が誰でもできる前提でつくられていた。できない私は、バスにも乗れない、映画も見れない、食事する場所もない。外出できない。そもそも家でもほぼ寝たきりでいるしかない。できることといえば、腹ばいになってパソコンをさわることくらい。もちろん、仕事もそれで。  コロナで日本じゅう巣ごもりになる前から、わたしはずっとこんな生活をしていた。最先端の流行を先取りしていたのである 笑。  そして絶えまなく痛みが襲う。毎日38度台後半の熱がでる。ちょっと休憩、なんて言わなくても1日30回、ほぼ1日じゅうトイレ休憩だ。  どうやって仕事する?  カネがないと治らないのに。(←まちがい) 「1日5分、クリックだけで日給1万円!」  そんなウェブ広告が目に入るようになった。  詐欺である。そんなの、あるわけない。  このキャッチ

愚かな私が18年かけて難病が治って分かったこと

イメージ
 ついに18年前の当初のもくろみどおり、甲田式の食事で難病を治すことにわたしは成功した。  これは褒められたことではない。  甲田光雄先生と松本仁幸先生、2人の天才に出会いながら、やっとか。むしろ劣等生どんだけ。  だがこんな愚か者でも治ったことは、後進の人にとって大いに意義がある。  ここに行き着くには、基本となる甲田光雄先生の食事と、そして甲田先生が解明できなかった難病の原因と完治の方法すなわち松本仁幸理論が必要だった。  2人の天才の理論、どちらが欠けてもだめであった。  そりゃどんな理論? てのはやめときましょうね。いつまでもメルマガが先に進まん。また電子書籍にしますからー。きょうは、それは知ってるって前提で。  ざっくりとだけいうと、甲田先生は「食事で治る。薬はいらない」。松本先生は「漢方薬と鍼灸で治る。食事は好きにすればよい」という理論だ(めっちゃざっくり)。  だが漢方薬と鍼灸は、必要不可欠ではなかった。  食事だ。食事がすべてなのだ。  薬よりも食品がだいじなのである。  はっきり、わかった。まず食事。病気の治療は、ここに全集中すべきである。  薬は、いらん。あるにこしたことはないが。  むろん免疫を殺すニセ薬は「ダメ。ゼッタイ」だが、免疫を助けてくれる正しい薬も、極論、いらん。  食事にしっかりと投資をし、それでもお金に余裕があるなら、補助として薬も買えばよい。なくていい。  正しい薬とは、具体的には漢方煎じ薬と抗ヘルペス剤のことだ。これらがあれば苦しみは減る。だが苦しみなんて耐えればいい、こちとらカネがねえんじゃという人は、なくていい。  だいじょうぶ。治りましたんで。  わたしが松本理論を知ったのは、甲田先生が他界されて途方にくれていたときだった。  甲田先生のご存命中、わたしの食欲は、抑えよう抑えようとすればするほど、暴れるばかりで、こんなことでは一生かかっても治らないのではないか、どうすればいいのだろうと思い悩んでいた。  わたしは甲田療法失格なのだ。  そんなとき、松本理論を知り、これしかないと、一時は思った。ガマンしていた食べ物を思い切り食べ、わたしは幸せを感じた。  だが幸せはただちに苦しみになった。1日30回の下痢地獄である。しかし半年や1年の辛抱だ。耐えていた。それが10年近くに及んだ。  甲田先生の療法だけで治る人もいた。松本先

白血球の育て方

イメージ
 そのむかし、人は病気の原因を祟(たた)りと信じていた。治す方法はお祓いだった。きえーっ! あのぅ、治りませんが。ではお布施の額を増やすがよかろう。きえーっ!  現代では、人は病気の原因をウイルスまたは狂った免疫と信じている。治す方法はウイルスか免疫を殺すことになっている。えいやっ! あのぅ、治りませんが。ではお薬の量を増やしてみましょう。えいやっ!  今も昔も迷信ほど恐ろしいものはない。  病気とは異物にたいする免疫の正常な反応のことである。治す方法は免疫力を高めることである。言いかえれば、白血球を育てることである。  まずこれを知らないことには始まらない。  では。  白血球を育てるにはどうすればいいか? この疑問がおきて初めて治療が緒(ちょ)につく。  白血球は異物があると強くなる。異物といえばウイルスも異物だ。だが危ない異物だ。安全に白血球を鍛えるのには向かない。そこで出番なのが、飲んでも人体の栄養にならない木の皮や草の根っこ、そう、漢方薬である。それと直接体に入れる異物である鍼(はり)、そして安全な軽いやけどによって皮膚じたいを異物にするお灸である。  せっせとやった。いや、そうとう手抜きした。でも、つねに痛みと発熱でうなっているわりにはよくやった。けっこうがんばった。  が。 「おれには効かない……?」  5年、6年やってもリンパ球の数値が上がってこないのだ。  リンパ球は白血球チームのなかでも特に重要なメンバーである。チーム編成のうち、このメンバーが30~40%になっていると難病は治る。治療を始めたとき、わたしのリンパ球は13%。死にぎわの老人の数値だと言われた。そして漢方と鍼灸を5年、6年やって、いちばん上がったときで21。その数値がでたのも始めてすぐのことで、あとはずっと15から18のあいだを停滞していた。 おかしいな。この治療を半年、1年やって治っている人がいっぱいいるのに。なんでだろう。  時間がかかっているだけだろう(手ぇ抜いてるし)。  だが7年、8年やって治らず、さすがに、考えた。  これは……クローン病のばあいは、状況が少々ちがうのではないか?  免疫力を高めるとは白血球を育てるということ。白血球はタンパク質である。  ――材料不足なのでは?  クローン病のわたしは、ふつうの食事をしているとほとんど栄養にならない。食べても食べても、1日