白血球の育て方
そのむかし、人は病気の原因を祟(たた)りと信じていた。治す方法はお祓いだった。きえーっ! あのぅ、治りませんが。ではお布施の額を増やすがよかろう。きえーっ!
現代では、人は病気の原因をウイルスまたは狂った免疫と信じている。治す方法はウイルスか免疫を殺すことになっている。えいやっ! あのぅ、治りませんが。ではお薬の量を増やしてみましょう。えいやっ!
今も昔も迷信ほど恐ろしいものはない。
病気とは異物にたいする免疫の正常な反応のことである。治す方法は免疫力を高めることである。言いかえれば、白血球を育てることである。
まずこれを知らないことには始まらない。
では。
白血球を育てるにはどうすればいいか? この疑問がおきて初めて治療が緒(ちょ)につく。
白血球は異物があると強くなる。異物といえばウイルスも異物だ。だが危ない異物だ。安全に白血球を鍛えるのには向かない。そこで出番なのが、飲んでも人体の栄養にならない木の皮や草の根っこ、そう、漢方薬である。それと直接体に入れる異物である鍼(はり)、そして安全な軽いやけどによって皮膚じたいを異物にするお灸である。
せっせとやった。いや、そうとう手抜きした。でも、つねに痛みと発熱でうなっているわりにはよくやった。けっこうがんばった。
が。
「おれには効かない……?」
5年、6年やってもリンパ球の数値が上がってこないのだ。
リンパ球は白血球チームのなかでも特に重要なメンバーである。チーム編成のうち、このメンバーが30~40%になっていると難病は治る。治療を始めたとき、わたしのリンパ球は13%。死にぎわの老人の数値だと言われた。そして漢方と鍼灸を5年、6年やって、いちばん上がったときで21。その数値がでたのも始めてすぐのことで、あとはずっと15から18のあいだを停滞していた。
おかしいな。この治療を半年、1年やって治っている人がいっぱいいるのに。なんでだろう。
時間がかかっているだけだろう(手ぇ抜いてるし)。
だが7年、8年やって治らず、さすがに、考えた。
これは……クローン病のばあいは、状況が少々ちがうのではないか?
免疫力を高めるとは白血球を育てるということ。白血球はタンパク質である。
――材料不足なのでは?
クローン病のわたしは、ふつうの食事をしているとほとんど栄養にならない。食べても食べても、1日30回の下痢で流れてしまう。死なないところをみると最低限の栄養は吸収できているようだが、それだけだ。生命を維持するのがやっとで、プラスアルファ、白血球を育てるためのタンパク質は、確保できていないのではないか?
この仮説はおおいに検証にあたいする。
治療を、「体をつくる」ことへと、舵を切った。
吸収できるものを。こんなゲリッピーでも吸収でき、なおかつ最高に栄養のあるものを食べるのだ。それも少ない量で、である。質を最大化し量を最小化する。わたしの腸でも消化が追いつくことが重要だ。
漢方薬と鍼灸は、いったんわきに置く。しばらくわたしの治療は、栄養になるものを食べること。そればかりやってみよう。
――お金がなくて漢方と鍼灸をやめざるをえなかっただけ。笑
すると、だ。
だんだんよくなってくるじゃないか!
そして述べてきたとおりグリーンポット(石垣島産ユーグレナ)が最後のひと押しとなって、病気は治った。
リンパ球も、22という数値が初めて出た。まだまだ理想とする30以上には遠いが、これくらいでも治ることが逆にわかった。
当たった、当たった。
そうだ。
病気が治るには白血球を育てる。それにはまず体をつくらないといけなかったのだ!
「難病はカゼが長引いているだけのもの」と書いた。だから、ほっときゃ治る、と。基本はこれで正しい。
だが治るための時間がカゼと難病では決定的に異なる。カゼなら断食がいちばんよい。だが10年、20年、断食しているわけにいかない。てことで食べる。極力少ない量で、最大の栄養を継続してとるのだ。
厳選に厳選をかさねた甲田光雄式の食事がここにおいて威力を発揮するのだ!
ついにわたしは当初のもくろみどおり、甲田式の食事で病気を治すことに成功した。
しかしここに行き着くには、甲田光雄先生が解明できなかった難病の原因と完治の方法、すなわち松本仁幸理論が必要だった。
だが漢方薬と鍼灸は、必要不可欠ではなかった。
食事だ。食事がすべてなのだ。
◆編集後記
もうマスクなんかしてんの日本人だけ。これも迷信。