最速でカゼが治る方法、難病が治る方法
カゼと、難病の治し方は、何がちがうか。
何もちがわない。同じである。
カゼも難病も体で起きていることは同じだからである。
カゼは、コロナというカゼもそうだが、カゼのウイルスという異物が勝手に侵入して「ここはオレの家だ!」とふざけたことを言っている状態である。「ちがいます。私の家です。出ていってください」と言えばよい。ただ彼は脳みそが無いので、話してもわからない。話せばわかる、と言って殺された気の毒な首相がいたが、どうしても話し合いが通じない相手がいる。人間世界では、こんなやつとはとにかく離れることである。だがウイルスはすでに私の体を家として居ついてしまっている以上、追い出すか殺すかするほかに私の生きる道はない。「では気の毒ですが、死んでもらいます。」と、免疫は泣く泣く刀をふるうのである。人は、ときには泣いて馬謖(ばしょく)をさえ斬らねばならぬ。いわんや私の命がかかっているときに、殺すのは善だろうか悪だろうかと考えてはおれない。ウイルスくんごめんね。きみは悪くないよ。でも私は生きたい。さらば。
カゼならこれで1週間もありゃ治る。免疫、つまり白血球たちが、ウイルスを殺すことを決断してからやり遂げるまでに、それくらいの時間がかかるからだ。
ところが、これを短縮する方法があるんだ。
知りたい?
ふふふ。それはね……。
〈断食〉です。
白血球は忙しい。いままさにウイルスという異物を片づけることに全力をつかっている。
いま彼らによけいな仕事を振ってはいけない。「白血球くーん、電話とってー」うるせぇおまえがとれ。
つまり食事という異物を入れるのは彼らによけいな仕事を振ることにほかならない。
食事が異物? そうですよ。私の細胞以外のものは、白血球にとって異物なんです。
食事というのは、毎日まいにち大量の異物を体に入れている行為である。きれいさっぱり消化吸収できてしまえばいいが、そんなことが可能な食品はない。必ずゴミが出る。うんちになってぜんぶ出るわけではない。体じゅうにゴミが残る。
白血球は毎日まいにちこのゴミ収集もしているのだ。いやこれが白血球のいちばんの仕事なのだ。
ウイルスの掃除はその片手間にやらなければいけないのだ。
じゃあ、カゼ、早く治すには?
そうですそうです、食べない。断食これすなわち最強です。
ただし1週間もの断食はカゼのウイルスの前にこっちが死んでしまう危険があるので、〈少食〉にする。死なないていどに、消化のよいものを口にして、あとはひたすら、寝る!
これが最も正しいカゼの治し方である。
難病の治し方も同じ。
難病のばあい、侵入した異物がチトやっかいなだけである。相手は殺しても死なない化学物質、と、逃げ回るのが世界一うまいヘルペスウイルスだ。
ゲームの「ドラゴンクエスト」ふうにいうと、
「じろーのこうげき! ミス! ダメージを与えられない!」が化学物質、
「じろーのこうげき! てきは すばやく みをかわした!」がヘルペスウイルス(よけいわからなくなった。ごめん)。
つまり相手は白血球が最もニガテとする異物なのだ。
そこで医学は何をしちゃうかというと白血球を眠らせちゃうのだ。「はい松井さーん、お薬です。」と薬品で遺伝子を組み換えて、白血球に命令を出せなくする。くさいものにフタ。体はボロボロになります。しばらくはどこも痛くもかゆくもなくなるが、代償はあまりにも大きい。遺伝子が元に戻ろうとして地獄の苦しみを味わいます。元に戻らないと死にます。
では正しい治し方は?
カゼといっしょっす。
白血球によけいな仕事を振らない。もちろん眠らせるなんて狂気の沙汰はしない。とにかくよけいなことをしない。じっと見守る。
ただし相手が白血球の最もニガテとする異物なので、時間がかかる。早ければ半年か1年だが、松井のようなこじらせまくった人は18年。桃栗3年柿8年、松井の大バカ18年。
だがこのバカもやり遂げれば必ず治るのだ。
だいじなことは、ただひとつ。
この18年のあいだ死なないことである。
死なないていどに食べておくことである。
最も早く治るのは断食だが、難病はそうはいかない。約20年、断食したら、おまえはもう死んでいる。
食べないといけない。
だが断食がいちばんよい。
うーん、どうする。
〈少食〉する。
生きていく必要最小限の食事をするのだ。
それには質と量がだいじだ。
質を最大化し、量を最小化するのだ。
なぜわたしがクローン病はユーグレナで治ったといって過言ではないと言うのかこれでおわかりであろう。
最も少ない量で最も栄養がとれる食品だからである。これが難病生活の最後のピースとしてハマった。「質を最大化、量を最小化」が完成したのだ。これでみるみる良くなっていった。
すなわち治療のすべては、食事だ。
食事がすべてなのだ。
わたしはこの連載の始めに、「難病なんてカゼが長引いているだけである」と書いた。こういう理論である。
――と、理論を知るのはたやすい。
だが。
腑に落とすのが難しい。
つづく
◆編集後記
ふつうに生活できている人なら、少食がいかに最強の病気予防であるかこれでおわかりでしょう。