食事だ。食事がすべてなのだ
「週刊少年ジャンプ」でいま看板マンガの1つになっているのが『僕のヒーローアカデミア』である。
主人公は、これまでのヒーローものの概念を覆し、物語の最初でいきなり最強の能力を手に入れる。ところが、それを使いこなす体ができていない。得た能力が使えない。それを体力の向上に応じて、5パーセント、10パーセントと能力が解放されていく、という斬新なシステムを採用している。
わたしはクローン病を治す物語の最初で、いきなり甲田式健康法という最強の能力を手に入れた。しかしそれを使いこなすだけの心と体ができていなかった。
のちに知った松本医学にしてもそうである。現代医学すべてを凌駕する最強の治療法だ。
しかし。
やってみてわかった。わたしはいきなり最強パワーを手に入れたが、体がまったくできていなかった。
これらを使いこなすには、まず体をつくらなければいけなかったのだ。
松本医学は漢方薬と鍼灸によって免疫力を上げ免疫に病気を治させる方法である。免疫力を上げるとは具体的には白血球の力をつけることである。漢方薬は内部から、鍼灸は外部から刺激して白血球の量を増やし質を高める。白血球はタンパク質でできている。タンパク質をつくる体力がなければ、いくら漢方薬を入れても鍼をやっても、白血球をつくることができない。免疫力は上がらない。
であれば、まず始めにやらなければいけないのは体力づくり。体づくりであったのだ。
では体は何によってつくられる。
食事をまず最優先で大切にすべきだったのだ。
持てるパワーを全振りしなければならないのは食事に対してであった。漢方薬ではなかった。サプリメントではなかった。考えられる限り最良の食事を用意する。まずこれをこそ全力を傾けるべきであったのだ。
ほかに何をやっても、ムダ、とは言わないが限りなくムダに近かった。
食事だ。食事がすべてなのだ。
治るための最後のピースとしてユーグレナはぴったりハマった。
59種類の栄養が良かったのか。パラミロンが良かったのか。そうなのだろう。だが。
なによりだいじなのは、これが〈食品〉だということである。
「クローン病を治す」と決めてからきょうまで、さまざまなことをしてきた。このサプリメントがいいよと言われれば飛びつき、いっこうに体調に変化がなく、ダメだこりゃ次いってみよう、で次もダメ、次もダメ、高価なものなら違うだろうかと怪しいネットワークビジネスのサプリを試し、同じだろ詐欺だわ、だまされたわ、と渡り歩いているうちに、病気を治すのは免疫と知り、松本仁幸先生が処方してくれた煎じ薬はもちろん、1包3000円、1箱3万円する粉末も飲み、ようやく変化が起きそうになるも、体が慣れてしまい、飲み始めの効果は得られなくなった。
「なんかちがう」
そんな気がしてきた。
これは、もしかしたら、バスケットシューズを買えばバスケットがうまくなると思っているのと一緒じゃないのか。
バスケット選手にとって何より大切なのは40分の試合時間をほとんどまるまる全力疾走していられるだけの体力である。途中でへばっているようではそもそも試合に出られない。へばらない体力がついて初めて、良いシューズ選びが重要になる。
わたしは体力もつけずにシューズ選びばかりしていたのだ。
漢方薬は効く。サプリも良いものならばあるにこしたことはない。だが。体のほうでこれらを使う準備ができていないなら、ないのと同じ。
まずは体をつくらなければいけないのではないか。
わたしは食品選びを丹念にするようになった。必ずしも高価である必要はない。むしろふつうの値段で買えて、ふつうに続けることができるものを選んだ。
豆腐。ねりごま。昆布の粉。ユーグレナ。……
ん? これって……。
1周まわって何とやら。だんだんと甲田光雄先生に指導された食事に近づいていったのである。
つづく
◆編集後記
そのマンガには今までありそうでなかった設定が他にもあって、ふつう少年マンガは男の子がヒロインに恋をしてその子のハートを射止めるために努力向上するのがパターンだが、このマンガは逆で、ヒロインが主人公に恋をする。その恋も高校生らしい、見ていてすがすがしい恋心で、ひたむきな主人公に見合う自分になるよう努力する。
主人公は得た能力に見合う自分になるよう努力している。作者のメッセージなのかな。結果を追うな。すべてはあとからついてくると。