その食品は吸収できるんか?
17年のクローン病で思い知ったことがある。 食品は栄養素もだいじだが、「その栄養素は吸収できるのか」が同じくらいだいじということである。 甲田医学と松本医学を、あれほどがんばったのに、なぜ治らなかったのだろうかと、治ったいま考えてみる。 「吸収できていなかったんじゃないか」 何を食べても、何を飲んでも、身になっているかんじがしなかった。 高額な食品、高額な漢方薬を、惜しげもなく買って体に入れ続けたが、体のなかを素通りしてトイレに流していたのではないか。 お金をドブに捨てていた、といったら言い過ぎであるが、だいぶもったいないことをしていた気がする。 クローン病で思い知った。 その栄養は吸収できるんか。 そこに愛はあるんか。と大地真央みたいになったが、愛があるならサラ金のCMをテレビで流すなよと言いたいが、とにかく、そこんとこだいじ。 なぜ野菜を食べてもクローン病では栄養にならないのか。 野菜は植物である。 ここで中学理科の問題。 「問い。植物の細胞は、表面が硬い組織でおおわれている。この表面組織を何というか?」 答え。 【細胞壁】 理科室で、みんなとかわるがわる顕微鏡をのぞいたのを記憶されているだろうか。校庭で草をとってきて表面をうすく剥がし、それをプレパラートにのせ(懐かしい)、のぞいてみると、 「あっ、みえたみえたー」 中心に丸い核、あいだをあけてその周囲をぐるっと堅牢そうなカベが囲って、日の丸弁当のかたちをしていた。 あのカベが【細胞壁】だ。 あれはまさにカベで、硬い防御壁である。身動きのとれない植物は硬いシールドをはることで外敵から食べられることを防いでいるのだ。 これが食品としてジャマになる。 細胞壁のせいで、かなりよく噛んで食べても、野菜の栄養が細胞から出てこない。細胞壁は消化酵素もはたらかない。なので、栄養の吸収が悪いのである。 理科の観察に戻るが、 「では次に、ヒトの細胞はどうか見てみましょう!」 と先生が言って、みんなで口のなかを軽くこすり、ついたものをプレパラートにのせ(懐かしい)、それを見たらどうであったか。 カベがなかったはずである。 「問い。動物の細胞は、表面がやわらかい膜でおおわれている。これを何というか?」 答え。 【細胞膜】 (まんまっすね。) この細胞膜は、容易に噛みつぶせるし、消化酵...