世にも珍しい米アレルギーになったいきさつ(推論)
わたしはコメに対してアレルギーがあった。 というわけでわたしのクローン病が治った理由のひとつは、なんとまあ、コメをやめて小麦食オンリーにしたことだった。 念のためだが、これは「わたしの」クローン病、のことだ。わたしだけかもしれない。 というのも―― なぜコメに対してアレルギーになったのか。心当たりがある。 わたしの両親は、いまもスマホはおろかケータイを持とうとせず、連絡をとるには電話、その電話も最近まで黒電話だったし、音楽はラジカセ、ビデオはVHSが壊れたあと使用を断念した、むかしの人である。食事もこんなかんじで、前の日の残り物を、網に入れて常温で放置し、次の日に食べ、また次の日に食べていた。子供のとき、朝食の味噌汁はいつも酸っぱく、これは母が前日の夕飯をわざと残るようにつくり、鍋に入れたまま翌朝に持ち越したものであって、子供のわたしは味噌汁というものは酸っぱい料理と思っていた。 白米もそう。炊き上がるとすぐ炊飯器の電源を切り、そのなかにいつ炊いたともわからないごはんが入っており、食事のたびにそこから茶碗によそっていた。お釜がカラッポになった日の夕刻、父は「きょうは新しく炊くからうまいぞ」と言っていた。いやそれふつうですから。と子供のわたしは知るよしもなかった。 この白米がしょっちゅう、とくに夏は変色していた。さぞわたしはカビ毒を大量摂取したとおもわれる。この積み重ねでコメに対するアレルギー体質ができあがったのだろう。 「無知は罪」という言葉がある。これは決して無知を見下してのことではなく、それが不幸のもとになるという意味である。結果、わたしはコメを食べられない体になった。ともするとクローン病の原因でさえあるかもしれない。 さいわい両親はコメばかり食べ、めったに小麦食は出なかったので、わたしはイタリア野郎になることで栄養摂取を可能にする逃げ道ができた。 いま、昼は食パン、夕食はパスタで落ち着いている。 小麦しか食べなくなったらあっけなく治った。 とはいえコメは恋しく、これだけ治ればもういけるかも、とコメを食べると、やはり下痢になる。 例外は、超・新鮮なコメ。とれたて・精米したて・炊きたてならば、下痢しない。どうやら目に見えない微量のカビでもついてしまうと、ふつうの人なら全く問題ない鮮度のコメもわたしにはだめなようだ。 そりゃ玄...