思考停止という病

 やっと、やっと、やーーーーー
……
っっっとコロナを「5類」にすると政府が決めてくれて、うん、まあ始めから5類ですけどね。やっとですか。というツッコミはさておき、まずはめでたい。あと数年したらみなさんマスクを外してくれるかもしれない。と淡い期待をいだいている松井です。




 それにしてもこのニュースの報道がひどいね。
 コロナはただのカゼ扱いになりますと言えばいいのに「5類になる」と言い、その説明は「インフルエンザと同等の分類」。ああやっぱり怖いんだとみんな思うでしょう。
 インフルエンザ、ただのカゼです。
 このへんの込みった内容には、マスコミ各社は腫れものにさわるようです。というか腫れものなので、絶対にさわらないようにしている。
 では、何を言うかというと、「コロナが5類になることで街ににぎわいが戻りつつあります!」「今年のゴールデンウィークは海外渡航者が昨年の5倍になってます!」こんないいことになってます。よかったよかった。
 コロナへの恐怖をあおったことへの反省はみじんもない。

 驚くべきは、この政府発表を受けてもなお「きょうの県内のコロナ感染者は何人で、何人が死亡しました」と報道を続けていることです。
 思考停止。人間がぜったいにおちいってはならない生きるしかばね状態に、マスコミがなっているのだから、世間が思考停止を続けるのも無理ないことです。
 昔からカゼでまいにち人は死んでいます。それを、なにか特別なウイルスでも流行しなければ死なないと思っている。まして、「私は」死なないと思っている。
 これを思考停止という。

 というわけでお久しぶりです。松井二郎です。
 連載が終わったあとメールをいただいていますので、きょうはお便りコーナー☆

      ◇

はじめまして。
「あとがき」とても共感しました。
私がクローン病と判明した2016年から過去メルマガ含めてほとんど読ませてもらってます。
本当にテンポよく読みやすい文才でいつも楽しませてもらっています。
このメルマガから高槻の病院と出会い、「まともな治療」で今まで生物学的製剤等使わずに普通に近い暮らしができています。
松井さんのおかげです。
数年前は定期的にメルマガを読みながら、「そんなに苦しむくらいならQOLを上げるための治療をしてほしい」と思ってしまっていました。申し訳ありません。
それでも病気に向き合い続けてきた松井さんだからこそ今の健康があるのだと思います。
様々な病気の要因、原因を考えながらも最後は自分との向き合い方となるのだなと私自身の経験からも本当にそう思います。
これからも応援させてください。(Tさん)

      ◇

 ありがとうございます。Tさんもクローン病とのこと、おつらいことでしょう。どうぞお大事になさってください。
「そんなに苦しむくらいならQOLを上げるための治療をしてほしい」と思ってしまっていました。申し訳ありません。
 いやいやー、そんな。そりゃ誰だって思いますよ。わたしも思った www
(QOLというのはクオリティ・オブ・ライフで生活の品質のこと)

 5年、10年やって治らない、のであれば、治るまで続ければいいだけ。苦しみに10年、20年、耐えていればいいだけ。
 と、思ってはいたんですが、不安でしたよ。
 もし30年、40年やって変わらなければ? 80歳のおじいちゃんになっても変わっていなかったら? どうするの? 続ける? やめる? やめるなら、いつやめる? 80歳? 70歳?
 治ったいま、結論がでた。
 次、また何かしらの難しい病気になったら、80になっても90になってもまちがった医療は絶対に受けない。

 人生の最期くらい薬をつかってラクになってもいいんじゃないかと以前は考えましたが、いや、最後の1日まで免疫を抑えないほうが、ラクではないが楽しく生きることができる。
 だって私、見ましたもん。入院していた東京の大病院で、70歳か80歳くらいのクローン病の男性が骨と皮だけになって腕から点滴のチューブがつながった台車をゆっくりゆっくり押してやっとやっと歩いている姿を。
 あれはぜったいに楽しくないよ。
 そして体もまったくラクでない。
 たとえ最後の1日まで治らなかったとしても免疫をいじめない正しい医療を自分で自分にしたほうが悔いのない人生を送ることができる。

 あ、ラクしたいですよ私。べつに聖人ぶってないです。ラクがしたいからこそ正しい選択をしないと望む未来が手に入らないから狡猾(こうかつ)に判断しているだけです。
 もう1通ご紹介します☆

      ◇

松井様
いつも健康のことを教えてくださり、ありがとうございます。
「痛い。かゆい。熱が出る。なぜ病気って苦しいの?
治すために免疫が努力しているからだ。なにごとも良い結果を得るときには努力がいる。」
そうですよね。
でも病気は苦しいですね。(中略)若いときの病気はまだ良い結果を得られることがありますが、老化による病は現状維持がやっとで、良くなることはあまりなく、悪くなる方が多いと思います。そうなると老いは、おそらく苦しみだけなのでしょうね。これだけは逃れられませんね。

この問題に対して現在はできるだけ元気でいられる期間を長くする対応が人生の目的のような感じになっていますが、それは少し苦しみを先延ばしするだけであり何の解決にもなっていません。
人類は今後、老いの苦しみをどうするかという問題を解決できるのでしょうか?

若いときも結構、苦しいですけれども、高齢になると苦しみだけのような気がします。同居のおばあちゃんを見ていると・・・
またいろいろと教えてください。よろしくお願いいたします。(キーヤンさん)

      ◇

 まことに鋭い考察、どうもありがとうございます。
 おっしゃるとおり。現代の風潮で最も問題なことは、「人生、つまり生まれてから死ぬまでのあいだ、いかに元気な状態を長く維持するか」これを人類一丸となって達成しようとしていることです。生きることが目的になっていることです。
 いやいやいや。生きてどうするの。
 なんのために延命するの。なんのために薬で病気の症状を先送りしてなるべく苦しみを遠ざけようとするの。なんのために食事をするの。なんのために健康法をするの。
「生きるため」
 いやいやいや。生きてどうするの。

「人類はなんのために生きるのか。それは、生きるためです」
 これはトートロジーといって、答えがわからないときにそれらしいことを言ってうまくごまかすときに用いられる論法です。このトートロジーを延々と続けていることこそ、人類に重くのしかかった苦しみの先送りにほかならない。薬物で症状をマヒさせていることにほかならない。
 これを思考停止という。

「だって考えたってわかんないじゃん」じゃなくって、わからなかったら生きていることにいつまでも意味を持てない。
 生きている意味を持つことができたから私はクローン病が治ったと思っています。

 もちろん考えてもわかりません。「人が生きるのはこのためだ」なんて自分で悟れるのはおしゃかさまくらいでしょう。だから私はとりあえず世界一の偉人のことばを学ぶことにしました。
 ただし、思考停止は私の最も嫌うところなので、考えながらですが、順番は「学ぶ」→「考える」です。考えるだけで学ばないのは危険、学ぶけど考えないのも危険ってやつです(「子いわく、学びて思わざればすなわち罔(くら)し、思いて学ばざればすなわち殆(あやう)し」。これは孔子だが。)
 この話題は健康メルマガでは連載の終盤で書いたあれくらいが限界なので、媒体を変えてYouTubeで言っています。話題が話題なので関心あるかただけ見てもらえたらいいです。




◆編集後記
 この原稿を書いているとちゅうでニュースをみたら、「きょうの県内のコロナ感染者は7人とお伝えしましたが、8人のまちがいでした。失礼しました」とキャスターが頭を下げていた。
 意味のない報道を訂正しても意味は……。
 どうでもいいことはキチンと報道する。だいじなことは言わない。


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