ウイルスはホコリといっしょと断ずる理由
「ことしの冬はライノウイルスが流行しそうです!」 なんて言われたら、たいていの人はビビるでしょう。なんじゃそら! また恐ろしいウイルス? いえ風邪のことです。ふつうに「風邪ひいた」というときはだいたいこのライノウイルスです。なのでさっきのは 「ことしの冬は風邪が流行しそうです!」 という意味。 でも、ふだん使わない医学的な言い方をされるとびっくりするでしょう。 風邪のウイルスがどれだけいるかというと、 ライノウイルス、 コロナウイルス、 インフルエンザウイルス、 パラインフルエンザウイルス、 アデノウイルス、 エンテロウイルス、 エコーウイルス(ヘルパンギーナ) など、200種類以上といわれています。 「いわれている」というのは、まだまだ全て知られていないから。というより知ることは不可能だからです。 最も一般的な風邪のウイルスであるライノウイルスひとつとっても、さらに数百種類の型があります。「新型」は毎年生まれていて(毎年というか瞬間瞬間生まれる)、これから生まれてくるウイルスを含めると 文字どおり無限の種類のウイルスがいるのです。 で、ふだん、どうですか。そんなの気にしてないよね。いま私がこんな話をするまでは、気にしてなかったはず。 ニュースを見るというのはこういうことです。 風邪に限ったことではない。「きょう県内で交通事故があり何人が死亡しました」それって県民全員が知る必要ってある? 知らなくても何の支障もないことを、テレビをつけるといちいち知らされてしまう。知らなければきょうもしあわせな一日だったのに、暗い気持ちにさせられる。 「新型のウイルスが現れました」 そりゃ現れるでしょ。毎日のように現れるんですよ新型のウイルスは。 「きょう日本では子供が生まれました」 そりゃ生まれるでしょ。で、いちいちニュースで言いませんよね。 だいじなことだからニュースで言うのではない。ニュースで言うことがだいじなことになるだけのこと。 「コロナウイルスというウイルスがいます」 あたりまえのことを、いちいち言う。言われるから認識にのぼる。認識していなかったものを認識したとたん、急に不安になる。急に世界がウイルスだらけのように見えるようになる。気になるようになる。 これが人をマインドコントロールする方法です。 ホコリが舞っている。ふだん気にもとめないけれ